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前回、SDL MultiTerm 2009を使って「サンプル用語ベース」という用語ベースを作成しました。この時点では何も登録されていないため、実際の翻訳作業で利用するために用語を登録します。登録の方法は主に次の2通りがあります。
用語ベースへの用語登録方法
- 用語ベースを開き、一つひとつを手で入力します。
- あらかじめエクセルで用語集を作成しておき、インポートします。
共通操作:用語ベースを開く
前回までの操作で用語ベースの作成を完了すると、次のようにその用語ベースが開いた状態になります。(↓)

自分で新しく用語ベースを開く
なお、自分で新しく用語ベースを開く場合は、ツールバーの「用語ベース」の「用語ベースを開く」をクリックします。実際は上記で既に用語ベースが開かれている状態なので、下記の自分で用語ベースを開く方法はのちのちに参考にして下さい。(↓)

そうすると「用語ベースの選択」という画面が出てくるので、ここで「参照」ボタンをクリックします。(↓)

「参照」ボタンをクリックし、用語ベースを保存したフォルダーを選んで、今回開く用語ベースファイルの「サンプル用語ベース.sdltb」を選択して「開く」ボタンをクリックします。なお、前回の操作では、「サンプル用語メモリー」という名前で、コンピュータ→Fドライブ→「翻訳」フォルダー→「用語」フォルダーに保存しました。(↓)

そうすると用語ベースの選択リストに、さきほど開いた「サンプル用語ベース」が追加されました。(↓)

これで「OK」をクリックし、ひとまず目的の用語ベースを開くことに成功しました。

これでまずは用語ベースが開かれた状態になりました。
用語ベースを開いたら
下の画面では「サンプル用語ベース」が開かれている状態です。ただ、新規に作成したばかりなので、登録されている単語がなく、空の状態で開いています。(↓)

実際に単語を登録していく前に、下の画面で Japanese → Chinese となっているインデックスを、 Chinese → Japanese に変更します(中国語を日本語に翻訳する中文和訳なので)。そのためには下の画面のように真ん中の矢印ボタンをクリックし、インデックスを反転させます。(↓)

用語を一つひとつ手で入力
中国語単語と日本語単語のペアを1件追加します。(1)ツールバーのアイコンをクリック、(2)ツールバーの「編集」ボタンの「新しく追加」をクリック、(3)ショートカットキーである「F3」を押す、という方法があります。
ツールバーのアイコンをクリック(↓)

ツールバーの「編集」ボタンの「新しく追加」をクリック(↓)

そうするとChinese、Japaneseという項目の下に白くて小さい入力ボックスが出てくるので、そこをダブルクリックし、原語と訳語を入力します。ここではサンプルの依頼元のクライアントから次のような用語リストが提供されたと想定します。(↓)
用語リストの内容
- Chinese:Japanese
- 文件:ファイル
- 目录:ディレクトリ
- 主机:ホストコンピュータ
- 运行:実行
入力エリアをダブルクリック(↓)

原語と訳語を入力(↓)

1組目の原語-訳語ペアを入力したので、ひとまず保存します。ツールバーの「編集」ボタンの「保存」をクリックします。(↓)

そうすると左側のナビゲーションに、さきほど保存した「文件:ファイル」のペアのうち、原語である「文件」が追加されます。これで無事に用語の登録ができました。(↓)

次の用語については、下記のエクセルからインポートする方法で登録することにします。
エクセルから用語集をインポート
用語集は、あらかじめ所定の形式に従ってエクセルで作成し、それをSDL MultiTerm 2009に取り込んだ方が効率的です。これを「インポートする」といいます。エクセルの.xlsファイルや.xlsxファイルを直接インポートするのではなく、いったん「SDL MultiTerm 2009 Convert」という付属のツールを使い、エクセルファイルをSDL MultiTerm 2009でインポートできる形式に変換します。
用語リストの内容を見直します。(↓)
- Chinese:Japanese
- 文件:ファイル
- 目录:ディレクトリ
- 主机:ホストコンピュータ
- 运行:実行
このうちの最初の原語-訳語ペアである「文件:ファイル」は上記で手動で登録済みなので、残る三つのペアを含んだエクセルファイルを用意します。
用語集のエクセルファイルは次のような形式で作成します。(↓)
Chinese | Japanese |
目录 | ディレクトリ |
主机 | ホストコンピュータ |
运行 | 実行 |
前回用語ベースを新規に作成した際、「インデックスフィールド」にChineseとJapaneseを選択したことを思い出して下さい。エクセルファイルの最初の行は、それぞれこの「インデックスフィールド」と同じ名前にします。2行目以降に、中国語単語と日本語単語を入力しておきます。この形式に従った用語集エクセルファイルを用意しましたので、下記よりダウンロードして下さい。
そして、このエクセルファイルの名前を「サンプル用語集エクセルファイル.xlsx」に変更し、「フォルダーを作成」で作成した「翻訳」フォルダーの中に保存します。
SDL MultiTerm 2009 Convertを使い、エクセルファイルをSDL MultiTerm 2009にインポートできる形式に変換します。まずはSDL MultiTerm 2009 Convertを起動します。(↓)

次へをクリックすると、最初から「新規変換セッション」にチェックが入っていますので、そのまま「次へ」をクリックして下さい。(↓)

ここではどの種類のファイルからMultiTerm XML形式に変換するかを選択します。エクセルファイルを使用していますので、画像の通り「Microsoft Excel形式」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。(↓)

この画面では4つの入力エリアが空白になっています。
まず右側の「参照」をクリックし、さきほど作成したサンプル用語集のエクセルファイルを選択します。元となるエクセルファイルを選ぶと、残る3つの項目は自動的に入力されます。この後で、画像に示されている「出力ファイル」「用語ベース定義ファイル」「ログファイル」が作成されますので、もしそれらファイルの出力先(=保存先)を変更したい場合は「別名で保存」をクリックし、個別に設定します。
ここでは自動的に「出力ファイル」以下の3つの項目が入力された状態になっています。(↓)

いきなり3つものファイルが作成されるので、保存先のフォルダーやファイル名を変更し、ほかの用語ベース関連ファイルと見分けやすいようにするもの手です。
次の画面では、実際に変換する前に「入力ファイルに含める列見出しフィールドを指定」します。
エクセルファイルの最初の行はChineseとJapaneseですので、それが左側の「使用可能な見出しフィールド」に表示されています。この画面では、まずエクセルファイルのChineseの列が、用語ベースの中の「インデックスフィールド」であるChineseと同じだということを設定します。
そのためには、左側のChineseを選択した状態で、画像の通り右側にある「インデックスフィールド」にチェックを入れ、Chinese(PRC)=中国語簡体字を選択します。(↓)

これでエクセルファイルのChineseと用語ベース中のChineseを関連付けることができました。
今度はエクセルファイルのJapaneseと用語ベース中のJapaneseを関連付けます。
やはり左側のJapaneseを選択した状態で、画像の通り右側にある「インデックスフィールド」からJapaneseを選択します。(↓)

「次へ」をクリックすると、下のよう「エントリ構造の構成」の画面に入ります。今回は「説明フィールド」を使用していないため、何も操作せずにそのまま「次へ」をクリックして下さい。(↓)

ここはただの確認画面ですので、直すところがあれば「戻る」をクリックします。このままでよければ「次へ」をクリックして下さい。

上記で「次へ」をクリックすると、いきなり変換が行われます。数個程度なら一瞬で変換が完了し、次のような画面表示になります。「3エントリが変換されました」と表示されており、エクセルファイルの3つの原語-訳語ペアがうまく変換されたと分かります。(↓)

「用語データを変換しています。お待ちください」と表示されていますが、この時点で変換が完了しています。表示に従っていつまでも待ち続けることなく「次へ」をクリックして下さい。
次のこの画面で変換が完了します。「終了」をクリックして下さい。(↓)

「終了」をクリックすると、突然画面が閉じてしまいます。初めて使用する際には何が起こったのか一瞬混乱しますが、これで正常です。
変換が完了したので、上記の3つのファイルの出力先(保存先)を確認します。今回は自動的に出力先を決めたので、もともとのエクセルファイルを保存していたフォルダーを開きます。(↓)

ご覧の通り、もともとのエクセルファイルである「サンプル用語ベース.xlsx」のほかに
・サンプル用語集エクセルファイル.log
・サンプル用語集エクセルファイル.mtf.xml
・サンプル用語集エクセルファイル.xdt
が作成されています。
これでSDL MultiTerm 2009にインポートするための準備が整いました。
次にSDL MultiTerm 2009に戻り、インポート先である「サンプル用語ベース」を開いた状態にして、左側ナビゲーションの「カタログ」をクリックします。(↓)

そうすると左側ナビゲーションのビューが「カタログ」を表示するようになりますので、そのなかから「Import」をクリックします。これで画面右側のエリアに「Import」メニューの選択項目が表示されます。(↓)

上記の画像の中でコメントしたように、表示された選択項目の「Default import definition」にマウスを合わせ、右クリックすると、下のように詳細メニューが出てきますので、その一番下の「実行」をクリックします。(↓)

そうするとインポートするファイルを選択するところがあるので、その右の「参照」ボタンを押し、エクセルからのファイル変換の際に作成された「サンプル用語集エクセルファイル.mtf.xml」を選択します。なお、ここで「ログファイル」の出力先(保存先)は、インポートファイルの選択と同時に自動的に入力されます。(↓)

次に「無効なエントリ用の除外ファイル」を指定します。除外ファイルの名称は本当に適当で構わないので、ここでは「aaa」と入力しました。そのほかはそのままで結構です。(↓)

上記までにインポートの設定が終わったら、下の画面ではインポート定義の概要を確認します。間違いがなければそのまま「次へ」をクリックして下さい。(↓)

小さなことかもしれませんが、上記の「無効なエントリ用の除外ファイル」を指定する際には「インポートウィザードステップ3/8」となっていましたが、その次であるここのインポート定義の確認画面はいきなり「7/8」になります。
上記のインポート定義の確認画面で「次へ」をクリックすると、下記のように言ポートが実行され、3個のエントリが処理されました。(↓)

ちなみに「インポートウィザードステップ」はすでに「8/8」となり、完了しているかのように思えますが、また「次へ」をクリックします。
例の「次へ」をクリックすると、下記のように「ウィザード」完了となります。「終了」を押して、インポートウィザードのウィンドウを閉じて下さい。(↓)

最後に用語が登録されたかを確認します。左側メニューで「用語」をクリックし、右側のビューに用語集を表示させると、確かに3個の原語-訳語ペア(=エントリ)が追加されています。(↓)

最初にSDL MultiTerm 2009のなかで手動で登録した「文件」と、あとからSDL MultiTerm 2009 Convertを使ってエクセルファイルを変換し、インポートした3個のエントリを含めて4個が登録されています。
最後に、インポートの過程で出力した「ログファイル」と「無効なエントリ用の除外ファイル」が増えていることを確認します。途中のステップで出力先を指定していますので、その出力先のフォルダーを開きます。(↓)

確かに新しいファイルが2つ増えています。また、もしインポートが完全に終わり、やり直すことはないと確信が持てるなら、これらのファイルはすべて削除しても構いません。インポートのたびに増えていくので、「あとで使うかも」「削除してしまってよいのだろうか」というご不安は無用です。一応もともとのエクセルファイルだけ、自分の分かるところに保存しておきましょう。
プロジェクト作成に向けて
ここまでの流れで、次の資料を取り扱いました。
・原文ファイル
・クライアント提供の用語集(エクセルファイル)
・インポート可能な形式に変換したファイル
・インポートとファイル変換に関連する各種ファイル
・翻訳メモリーの実体ファイル
上記を踏まえ、これまでの流れをしっかりと覚えた上で、次の記事ではプロジェクトを作成する手順を解説します。
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日英翻訳をしております。Multiterm2009のインストールに四苦八苦し、SDLからもなしのつぶてで困り果てていたときにこのHPを拝見し、無事インストールと用語集のインポートができました。
本当にどうもありがとうございました。
コメント by 中山桂 — 2012年9月5日 @ 5:23 PM | |